すぐ来て欲しいと言うちづるの連絡に答えてやることが出来なかった。

仕事を優先し、連絡を取る事を怠ってしまった。

俺の中にちづるに対して奢りがあった。

連絡しなくても、俺の気持ちをわかってくれると……

アメリカから戻った俺の元にちづるの姿はなかった。

俺は自分の取った行動を後悔し、必死にちづるを探した。

しかし、ちづるの行方を探し当てることは出来なかった。

あれから八年、まさか海堂慎の妻としてちづると再会する事になろうとは、誰が予想出来ただろうか。

まだこの時は知る術はなかった。

俺は慎と連絡を取り、合流した。

「充、忙しいところ悪いな」

「お前が下手に出るなんて気持ち悪いよ」

「これから三神の屋敷に向かう、充は俺のマンションで待っててくれ」

「わかった、困ったら連絡しろ」

「ああ」
慎は三神の元に向かった。

そして俺は慎からカードキーを受け取り、慎のマンションに向かった。

部屋に入ると、なぜか懐かしい香りがした。