「明日も会うぞ、同じ時間に来い、いいな」

「はい、はい」

「はいは一回でいい」

「はい、はい」

こいつ、俺を馬鹿にしているのか、でもなんか知らないうちに許してる、不思議な女だ、ちづるは。

そしてしばらく俺とちづるはデートを重ねた。

ちづるの気持ちはわからないままだった。

恋人の存在も確かめないまま時間は過ぎていった。

俺は仕事も順調で、親父から会社を任される事になった。

「充、お前に会社を託す、社長を継いでくれ」

「わかった」

「それと結婚しろ、取引先のお嬢さんだ」

「はあ?俺は好きな女がいる、その女以外とは結婚しない」

「そうか、その娘さんはどこの御令嬢だ?」

「どこの御令嬢でもない」

見合いを断ったはずだったが、着々と話は進んでいた。
ちづるは俺の見合いの話を聞きつけ、俺の元を去る決断を下していた。

そんなちづるの気持ちを知らず、仕事のためアメリカに行く事になった。

ちづるは多分俺を試したのだろう。