雑誌をペラペラめくり、何冊か見ていた。

そこへ声をかけてきたのがちづるだった。

「あのう、この貼り紙見えないんですか」

声のする方へ視線を移すと、ちづるがちょっと怖い顔で俺を睨んでいた。

「何?」

「だから貼り紙」

「貼り紙?」

俺はちづるの指し示した紙を見た。

《雑誌の立ち読みはご遠慮ください》

「買えばいいんだろう?買えば……」

「そうじゃないです、立ち読みの意味知らないんですか?」

なんだ、この女、俺に説教しやがって。

「充坊っちゃま、どうなさいましたか?」

「なんでもない」

俺はこのとき、ムカついていたのと同時にちづるの怒った顔が忘れられなかった。

それから俺は毎日、ちづると出会ったコンビニに足を運んだ。

しかし、一向にちづるは現れなかった。

一週間が過ぎようとしていた。

今日もダメか。

そんな時、ちづるが現れた。

「あの、この間はすまなかった」

「ああ、立ち読みした坊っちゃま」

「俺は仙道充だ」

「私は間宮ちづるです」