俺はメモに走り書きをして、石に包みちづるに向けて投げた。
ちづるは受け取ってくれた。
「ちづる、愛している、俺を好きになってくれ、会社や俺の立場は大丈夫だ」
ちづるは俺のメモを読んでフェンスに身を乗り出した。
そしてちづるの唇が動いた。
「海堂さんを愛しています」
ちづるはすぐに窓とカーテンを閉めて部屋の中に消えた。
今、俺の見間違えじゃなければ、愛していますって唇が動いた。
でもどうして三神の言うなりになっているんだ。
俺は極秘で三神を調べさせた。
まさかの事実が判明した。
三神は、海堂コーポレーションのメインバンクの頭取と、古くからの付き合いがあり、
裏から手を回したらしい。
よからぬ噂をネットに流して、俺の信用を落としたのだろう。
そして、海堂コーポレーションの取引先にも、手を回したことが判明した。
ちづるは脅されたのだろう。
自分の言う通りにしなければ俺の身が危ないと。
三神の息がかからないところから仕事を立て直す手立てを考えることにした。