「ちづるさんがサインした離婚届けを送るので、君もサインをしてこちらに送り返してくれ、よろしく頼むよ」

「ふざけるな、ちづるとは離婚はしない、これから迎えにいく、ちづるは俺の妻だからな」

「ちづるさんは君を愛してはいない、もう諦める事だな」

ちづるは俺を愛してはいない、この言葉が俺の心の底を深く抉った。

俺はちづるを迎えに行くために、三神の元に急いだ。

「ちづる、ちづる」

「海堂さん」

「ちづる、帰るぞ」

「私は帰りません」

「何を訳の分からない事をいっているんだ」

「海堂さんを愛していないから」

ちづるの唇がそう動いた。

わかっていたが、現実を突きつけられて俺は愕然とした。

「君は一人で帰りたまえ」

俺は三神に追い立てられるように屋敷を追い出された。

ちづるはきっとあいつによからぬ噂を吹き込まれたのだろう。

力ずくでちづるを連れ帰ることは出来ず、一先ず退散するとこにした。

私は海堂さんに嘘をついてしまった。