そして帰り道、黒い車が私の真横に停まり、ドアが開いて引き摺り込まれてしまった。

「きゃっ、何をするんですか」

「早く車を出せ」

そう運転手に指示をしたのは、白髪の落ち着いた老人だった。

「手荒なことをして済まなかった、年寄りに免じて許してくれ」

「私をどこに連れて行くおつもりですか」

「わしの屋敷じゃ」

白髪の老人は言葉を続けた。

「わしは三神亘、世界的有名なデザイナーじゃ、お嬢さんは間宮ちづるさんで間違いないかな?」

「私は結婚して海堂ちづるです」

「そうか、そう言うことだったのか」

「あのう、私に何の御用でしょうか、携帯も置いて来て早く帰らないと海堂さんが心配します」

「それはすまん事をした、後で海堂氏にはわしから連絡を入れておくから安心してくれ」

えっ、三神さんから連絡貰ったら、海堂さん、絶対に怒るだろうな、一人でコンビニへ行った事物凄い勢いで怒られちゃう。