俺は仕事から戻り、ちづるに事の成り行きを話した。

「いいか、ちづる、お前の周りを彷徨いている奴は、世界的デザイナーの三神亘の息子三神学だ」

「私知りませんけど……」

「ちづるに一目惚れしたらしい」

ちづるはふふっと笑った。

「何がおかしいんだ」

「だって、一目惚れってありえないですよ」

「どうしてだ」

「どうしてって……」

俺はこの時、ちづるを引き寄せ抱きしめた。

ちづるはびっくりしたようで、驚いていた。

「ちづる、お前は魅力的だ、色々な男がお前を自分のものにしたいと思っている、自覚をして自分の身を守る事を考えろ」

「海堂さん、大袈裟ですよ」

「この間の連中も三神学の差金だ、まず力づくでちづるを自分のものにしようと襲って来た、それで失敗したから、無理矢理ちづるを連れ去ろうとしたんだ」

ちづるは頷きながら俺の話を聞いていた。

「いいか、一人で出歩いちゃ駄目だぞ、わかったな」

「はい」
ちづるは素直に頷いていた、しかし自分にそんな魅力がある事を疑っていた。