俺はちづるの手を掴み、エレベーターに乗った。

部屋に入ると、ちづるを抱きしめた。

そして、ちづるの唇を塞いだ。

ちづるは急な事にびっくりした態度を示した。

「海堂さん、どうしたんですか?」

「もう、一人で出歩くんじゃないぞ、わかったか」

「はい、ごめんなさい」

「飯を頼む、俺は着替えてくる」

俺は寝室に着替えに入った。

私は自分の唇に触れた。

海堂さん、どうして私にキスしたの?

私が一人で出歩いた事を心配してくれたのはわかるけど、抱きしめてキスなんて意味がわからない。

あんな思いってなんだろう?

海堂さんの過去に思い出したくない出来事があったんだろうと推測した。

その事が、私を必要以上に心配してくれる要因なんだろうか。

私は中々部屋から出てこない海堂さんに声をかけた。

「海堂さん、お食事出来ましたよ」

返事がない、怒ってるのかな?

「まだ怒ってるんですか、機嫌直してください、ご飯食べましょう、もう先に食べちゃいますよ」

ドアが静かに開いた。