しかし、仕事が忙しく、真実の寂しい気持ちに寄り添ってやる事が出来ずにいた。

真実は男に捨てられた寂しさと、俺に構って貰えない寂しいとで、精神的にダメージを負った。

そして命を絶った。

信じられない出来事に俺は呆然としていた。

あの時、もっと真実に寄り添ってやっていれば、こんな事にはならなかったのではないか。

あの日仕事を優先し、真実を放っておいた俺の責任だ。



「離婚しなきゃいいんだろ?ちづるも覚悟を決めろ」

「覚悟って?」

「俺の妻になる覚悟だ」

「わかりました、よろしくお願いします」

俺とちづるは夫婦となった。

しかし、ちづるはマイペースで俺が振り回されていた。

「私はこの部屋で休ませて頂きます、お互いに好意があっての結婚ではないので、契約上の夫婦と言う事でいいですよね」

「ああ、俺だってちづるを愛している訳ではないからな、お互いに干渉しないと言う条件でいいな」

「それで大丈夫です、ではおやすみなさい」

ちづるはゲストルームへ消えた。