「真実、こいつか?俺様でお前の言う事全く聞いてくれないのは」

浮気相手の男が俺に向かって口を開いた。

「てめえ、人の女に手を出しやがって、何様のつもりだ」

「人の女?真実はお前じゃなく俺に惚れてるんだ、お前の方が浮気相手だったんだよ」

信じられない言葉が俺を谷底に突き落とした。

俺が浮気相手だったなんて。

「真実、こいつが言っているのは本当か」

俺は心の中で否定してくれと祈った。

しかし、彼女の口から出た言葉は「ごめんね、慎、私ね、慎じゃなく彼を愛してる」

目の前が真っ暗になった。

「真実、何にも言わなかったじゃないか」

「言えなかったの、怖くて」

「怖い?俺がか」

俺はその場を立ち去った。

それから女を愛することに躊躇した。

裏切られる怖さと、優しく出来ない自分の性格が恋愛から俺を遠ざけたのだ。

しばらくして真実があの男に捨てられたと俺を頼って来た。

情けない話だが、まだ真実を愛していた。