「何をしている、ちづるは俺の妻だ」

「間宮ちづる様に一緒に来ていただきたいのです」
「人違いだろ、俺の妻は海堂ちづるだ、もう俺の妻を付け狙うのはやめろ」

二人の男は「ちゃんと確かめたのか」「はい、確かに」などとぶつぶつ言いながらその場を立ち去った。

俺の背中で肩を震わせて、ちづるは泣いていた。

俺はちづるの方に振り返り、ちづるを抱き上げた。

「きゃっ」

「しっかり掴まっていないと落ちるぞ」

そこへコンシェルジュの山川が駆けつけた。

「海堂様、ちづる様大丈夫でございますか」

「ああ、心配はいらねえ」

ちづるは恐怖で体が震えていた。

なんなんだ、こいつは。

放っておけねえ、こんな気持ちははじめてだ。

俺はちづるを抱きしめる腕に力を込めた。

部屋に入るとソファにちづるを下ろした。

「ちづる、海堂ちづるになれ」

「私なんでこんな目に遭うんですか」