俺に対して冷たくされたことで、愛が冷めるのであれば、そこまでの気持ちと言う事だろう。

ちづるはそんな女ではない事は百も承知だ。

しかし、術後で気弱になっていたら、冷たい俺ではなく、優しい充を選んだら、これもまた賭けだった。

俺はもう一つ作戦を立てた。

昔から兄弟のように育った、取引先の娘、真実に協力を求めた。

「頼む、協力してくれ」

「慎が私に頭を下げるなんて信じられない」
「そんな事どうでもいいだろう、やるのか、やらないのか、どっちだ」

「わかったわ、これは大きな貸しよ、覚えておいてね」

「ああ」

「ちづるさんが嫉妬の炎を燃やすようにすればいいのね、任して」

ちづるは俺の思い通り、俺に対する気持ちを爆発させた。

ちづるから抱きついてくるとは想定外だった。

俺とちづるは再婚した。

私はのちに、海堂さんからこの話を打ち明けられて、拗ねて見せた。

「ひどい、慎のバカ」

「いいな、その呼び方」

「慎」

慎と見つめ合い、二度と離れないと誓った。