「助けて、いや」

「僕と付き合って欲しい、ずっと好きだったんだ、もう我慢出来ない」

見知らぬ男の荒い息が、私の首筋にかかった。

手首を掴まれ「僕の言う事を聞け」と頬に平手打ちをされた。

涙が溢れて抵抗する気力も無くして、私は観念した。

意識が遠のく中、言い争っている声が聞こえて、そのまま意識を失った。

気づくと、ベッドに横たわり、おでこにタオルが置かれていた。

身体中が痛い、私はあの男のものになっちゃったの?

タオルケットがかけられた身体を恐る恐る確かめると、ちゃんと服を着ていた。

下着もつけていた、多分間一髪のところで助かったのかな。

天井が高くて、高級な部屋だとわかった。

起きあがろうとした瞬間、部屋のドアが開いて男性が入ってきた。

「気づいたか、ずっと眠っていて起きなかったらどうしようと思ったよ」

誰?私はどうしてこのベッドに寝ているの?

しかもその男性は顔に怪我をして、唇が切れている。

殴られた様子がありありと感じられた。