「この前ねこんな話があったんだ。笑えるだろ」
君に呼びかけてみる。
「そこで俺はこう言ったんだ……」
続きを言おうとした瞬間、背中に衝撃が走った。
座って話していたら、どうやら子供がぶつかってしまったらしい。
「大丈夫かい?」
「うん……ごめんなさい…」
「いいんだよ。これくらい痛くもなんともないさ」
……そろそろいい時間か。そう思い立ち上がり、タバコを咥え、火をつけようとする。すると、ぶつかってきた子が言った。
「…タバコは体に悪いってお母さんが言ってた……大丈夫?……」
子供ながらの純粋な心配だろう。
「……心配ありがとう」
子供の頭を撫でてやる。
子供は照れくさそうな顔をしながら向こうの方へ走って言ってしまった。
「……俺もそろそろ帰るよ」
あなたの墓をやさしく撫でる。
決して返事がないことがわかっていながら、毎日ここに来て話をしている。
……体に悪い、か。
本望だな。
俺も君のもとに早く行きたい……
タバコの二つ名は……


「緩やかな自殺」なのだから。