部活の練習が校庭でサッカー部と一緒になると、視線が無意識に南の姿を探している。それを自覚したのは、秋も深まる頃だった。

思いきって三カ月以上ぶりに南にラインを送ってみたら、一週間待っても既読にならず……。それからしばらく、結構本気で落ち込んでいる。

今まで自分から南にラインなんて送ったことがない。付き合っていた頃は返事が面倒くさいとすら思っていたのに。いざ連絡がつかないとショックを受けるなんて、虫のいい話だ。

既読にすらならないということは、おれのラインは南にブロックされているんだろう。部活中に見かける南のそばには、よく弓岡が立っているし、部活後にふたりで歩いているのを見たこともある。南にはもう、おれの連絡先なんて必要ないのだ。

今さら南のことが気になったって手遅れだ。手が届く場所にいたときには、あの子のことを見ようともしなかったのに。やっぱりそばにいて欲しいと言ったら、あの子はおれの身勝手さを笑うだろう。それでも、部活中や登下校の道中で南の姿を求めてしまうおれは、ほんとうにどうしようもないと思う。

学校から駅へと続くなだらかな下り坂。日が落ちて、暗くなり始めている通学路をひとりで歩いていると、同じ高校の女子生徒たちのグループが笑いながら通り過ぎていく。そのなかのひとりの横顔が南に見える。その瞬間、冷静さを失ったおれは、その子に声をかけていた。

「南……」

考えるよりも先に体が動いて、余裕なくその子の手をつかまえる。だけど……。