「アイちゃんが南さんと別れて、そろそろ二ヶ月だっけ? それだけの期間が空けば、新しい彼氏もできるか。でもサッカー部の弓岡くんて爽やかで優しくて話しやすくて、アイちゃんとは真逆のタイプだよね。アイちゃんみたいな無愛想なタイプと付き合ってたら、ああいう明るくて優しい人と付き合ってみたくなっちゃうのかなー」

みなみがそう言って、ははっと笑う。思ったことを何でも口にするのはみなみの良いところだし、悪気がないこともわかっているけど……。今のみなみの言葉は、平気な顔で無視できない。

「悪かったな。根暗で冷たくて無愛想で」

低い声でぼそっとつぶやくと、さすがのみなみも不穏な気配を感じたのか「そこまで言ってないって」と苦笑いでフォローを入れてきた。

「無愛想で年中テンション低いけど、アイちゃんは顔がいいからモテるじゃん。南さんと別れてから告白増えてるんでしょ。噂は聞いてるよ。すぐに南さんのこと忘れられるくらいの可愛い彼女ができるよ」

みなみがおれの肩を軽く叩いてヘラヘラと笑う。みなみの言葉に悪気はない。元カノに彼氏ができたおれを励まそうとしてるんだってこともわかる。

だけど、すぐ忘れられるとか、可愛い彼女ができるとか、勝手で無責任すぎるみなみの言葉にイライラした。

小さい頃から近くにいすぎて異性として意識されてないんだろうけど。それにしても、みなみはおれの気持ちをなんだと思ってるんだろう。