いつからバレていたんだろう。おれが、幼なじみの喜島みなみが好きなこと。みなみの彼氏に、いつも嫉妬の眼差しを向けていたこと。

あの子は、みなみが気付いていないおれの気持ちを見抜いてた。そのうえで、みなみの代用品としておれのそばにいようとしていたのだろう。

おれの隣を歩いていたときの、あの子の栗色の髪が揺れるさまや、あまり似合っていなかった濃い目のアイメイク。少しくらい黙ってくれればいいのにと思っていた一方的なおしゃべり。そういう部分的なことは記憶に残っているけれど、それは全部みなみを真似た虚像で。あの子がほんとうはどんな子だったのか、おれには全くわからない。

そんなだから、きっと遅かれ早かれ別れてた。おれはあの子と付き合っているときも、ずっとみなみが好きだったから。

それなのに、あの子に別れを告げられて昨日の夜うまく眠れなかったのは……。未だに少し気怠いのは、あの子の別れ話のやり方が唐突であまり類を見ない方法だったせいだ。

あとは、気温と日差しの暑さのせい。

あの子に興味も未練もないのに、胸がざらついて、いつもより少しだけ息苦しい。