「うん。食べ物の屋台はないけどピザとか飲み物だけなら近くの店から手売りで来てくれるし、コンビニもある。反対岸の最寄り駅は普通電車しか停まらない駅だから少し不便だけど、行き帰りもあんまり混まないと思う」
「へえ」
やけに詳しいけど、梁井先輩は主会場の反対岸で花火を見たことがあるのだろうか。それとも、夏休みのことを考えて少しは下調べしてくれていたのだろうか。
後者だったらいいな、と思いながら、梁井先輩の言葉に期待する。
「じゃあ、主会場の反対岸の最寄駅で18時に待ち合わせますか?」
「それでいいよ」
にこっと笑いかけると、梁井先輩が少し目を細める。たぶん先輩は朝の太陽の光が眩しかっただけだ。わかっているけれど、その仕草がわたしに笑いかけて返してくれたように見えなくもなくて。夏休みと花火大会への期待で、胸がときめいた。