翌朝、目が覚めるとシオンの姿はなかった。
 死神なんて見えないに越したことはないが、何だか少し寂しい気もした。そんな気持ちとは裏腹に空は清々しいほどに快晴だった。
 
 「眠そうだね。おはよう茜。」
 
 欠伸をしていると耳に心地よいほどの低音が横切る。
 
 「シオン!もう会えないと思ってた。」
 
 また会いたい。その意味合いを持つこの言葉はシオンの顔を紅潮させた。

 「顔が赤いけど熱でもあるの?死神でも風邪ひくの?」

  普段雪のように白いシオンの肌が赤くなったのを見て、茜は風邪と捉えたらしかった。
 あの日から茜は人が変わったように明るくなった。
 恋人の死を受け入れ、前に進む事に決めたのだ。
 
 幸せって何処にあるんだろう……退屈な授業を頬杖付きながら考えた。……