「そう言ってくれるのは嬉しいけど……普通それで転校までするかぁ?」

すこし呆れながら言う。

「高校には、ずっと行ってなかったから」

「……そうなの?」

「僕ね、18歳になったら死ぬんだ」

「ーーは? え?」

「だから、どうせ死ぬんだから、高校に行く必要がないって思ってたんだよ」

聞き間違えてしまったかと思うくらい、白井はあっけらかんと寿命を告げた。


「え? 意味わかんない。なんで死ぬの?」

「病気だよ」

「余命ってやつ? それならいつ死ぬかなんてわからないだろ」

「特殊な病気なんだ。なんと世界で僕が5例目らしいよ」

白井はやけに落ち着いていた。

「細胞が決まった時を刻むと必ず停止する奇病で、18の誕生日に絶対死ぬんだって。今のところ助かった人はいない」

どう言葉を掛けていいかわからなくなった。そんな病気聞いたこともない。

世界で5例目って言ったから、俺が知らなくても当たり前かもしれないけれど。