◆
きっかけはなんだったっけ。
そうだ。シャッター音が重なったんだ。
まったく同じタイミングでシャッターを切るなんて、なんたる偶然なんだと思った。
ライバル心と興味。
一体どんな奴が撮影をしているのだと、横を向いて、ハッと目を丸くした。
数メートル先に立って、同じ方向にカメラを構えていたのは、転入生だったからだ。
「あー……転入生の、白井……偉琉《タケル》だよ、な?」
名前間違ってないよな、とぼそぼそと喋った。
白井はなぜか顔を赤くした。
人見知りか?
「そうです」
「同級生なのに、なんで敬語なんだよ」
「緊張しちゃって」
思わず笑うと、白井はそうだねと頬をかいた。
「あー、クラス馴染みにくい?」
転入してまだ間もないしな。
「黒木君にだよ」
「は、俺? もしかして怖い?」
「違うよ。
黒木総一郎君。
君、フォトコンテストで賞を取ったでしょう。展示会で君の写真を観たんだ」
「え! マジ?!」
「僕ね、黒木君に憧れて写真を始めたんだ。
同じ景色を見てみたくて一緒の学校まで通い始めたんだけど、いざ本人を目の前にすると緊張しちゃって」
白井はえへへと頭を掻く。
ただファンだと言うには、聞き捨てならない発言があった。
自分がきっかけとなり、カメラを始めたまでは嬉しいとして。
よくよく見ると、白井のカメラ持っているカメラは俺と同じ色違いのもの。
「……ええと、そのカメラは」
「ああ、黒木君の使ってるカメラ調べて、僕も同じもの買ったんだ。いざ始めて見ようって思っても、何使っていいかわかんなかったから。
どうせなら憧れの人と同じ機種がいいでしょ」
顔を赤らめる白井に、俺は内心ちょっと引いた。
ストーカーかよ。
きっかけはなんだったっけ。
そうだ。シャッター音が重なったんだ。
まったく同じタイミングでシャッターを切るなんて、なんたる偶然なんだと思った。
ライバル心と興味。
一体どんな奴が撮影をしているのだと、横を向いて、ハッと目を丸くした。
数メートル先に立って、同じ方向にカメラを構えていたのは、転入生だったからだ。
「あー……転入生の、白井……偉琉《タケル》だよ、な?」
名前間違ってないよな、とぼそぼそと喋った。
白井はなぜか顔を赤くした。
人見知りか?
「そうです」
「同級生なのに、なんで敬語なんだよ」
「緊張しちゃって」
思わず笑うと、白井はそうだねと頬をかいた。
「あー、クラス馴染みにくい?」
転入してまだ間もないしな。
「黒木君にだよ」
「は、俺? もしかして怖い?」
「違うよ。
黒木総一郎君。
君、フォトコンテストで賞を取ったでしょう。展示会で君の写真を観たんだ」
「え! マジ?!」
「僕ね、黒木君に憧れて写真を始めたんだ。
同じ景色を見てみたくて一緒の学校まで通い始めたんだけど、いざ本人を目の前にすると緊張しちゃって」
白井はえへへと頭を掻く。
ただファンだと言うには、聞き捨てならない発言があった。
自分がきっかけとなり、カメラを始めたまでは嬉しいとして。
よくよく見ると、白井のカメラ持っているカメラは俺と同じ色違いのもの。
「……ええと、そのカメラは」
「ああ、黒木君の使ってるカメラ調べて、僕も同じもの買ったんだ。いざ始めて見ようって思っても、何使っていいかわかんなかったから。
どうせなら憧れの人と同じ機種がいいでしょ」
顔を赤らめる白井に、俺は内心ちょっと引いた。
ストーカーかよ。