彼が、亡くなってもうすぐ一周忌となる。
彼が亡くなった年に高校を卒業した私は、地元の大学で医学を学んでいた。
そんな春休み、私は彼と姉のお墓参りに浪江町に来ていた。
「久しぶり誓、お姉ちゃん。春休みになったからお参りに来たよ。お義母さんも私も、元気だよ。……私達の浪江の家、記念館になるんだってすごいよね。お姉ちゃん、いっぱい働いた分ゆっくり休んでね。…誓、何で先に言ってくれなかったの?…………わたしも、貴方を愛してたよ…ありがとう…」
『ありがとう…芽李…』
「えっ…いま………ふふ。」
誓の声が聞こえた気がしたが…空耳かな…
私は、菊と白いカーネーションとオオイヌノフグリをお墓に添えて帰った。