もうあと一歩で、落ちる…そんなときだった。

「待って!誓くん!待って!!」

聞き覚えのある声が聞こえる…

「芽李…さん…」
「待って…おね…がい…ちょっ…と…はーはー…っ…」

岬まで走ってきたのか…俺を追いかけて…

「何でここに…?」
「さっき…部屋でちょっと絵…描いてて…そしたら…海の方に行く…誓くんを見つけて…追いかけて来たの。」
「絵…」
「誓くんと一緒に描けたらなって思って…」

あぁ…俺のためにここまで…

「はっ…ははっ…」

俺は、全部馬鹿馬鹿しくなって、足の力が抜けそのまま地面に倒れた。

「誓くん!大丈夫?!」
「はっ…はは…大丈夫ですよ。」
「そう…良かった来て…」

彼女は、倒れ込んだ俺を抱き起こしてくれた。

「ねぇ…命を粗末にするようなすることしないで…そうやって自分の全部を捨てちゃったら、もう誰にも会えないんだよ…こんなきれいな満月の夜に…」
「そうだね…やめるよ…」
「絵、好きなんでしょ?私にもっと見せてよ。誓くんの絵。誓くんは好きな人とかいないの?」
「っ…///いるけど…」
「ふ~ん。まぁ、早く帰ってきてね。」
「あぁ…死にはしないよ…芽李さん、ありがとうございます。おやすみなさい。」
「おやすみ、誓くん。」