すると、泣いている俺のところにすたすたと誰かが来た。

涙で歪んでいてよくわからなかったけれど、多分初対面の人だ、と思う。

涙を急いで拭うと、はっきり見えた彼女を誰かに似ていると感じた…

(誰だろう…会ったことある…かな…)
「松野誓、ってあなた?」
「俺ですけど…」
「ふ~ん……泣けるんだ…いいね。」
「は?何言ってるんですか?っていうか何方(どなた)ですか?」

いきなり話しかけてきては「いいね」ってなんだよ…

何様だよ…誰だよ…

何も知らないくせに…

「私?そっかお姉ちゃん何も言ってなかったんだ。」
「えっ……」
「私、望月芽李(もちづき めい)。美月の本当の妹。」
「えっ…?え!」

今、義姉の「本当」の妹って言ったのか?

義姉の実の家族が、いたのか…

「えー!嘘でしょう!ヤバッ!」
「千夏うるさいよ~…でも衝撃だね~」
「あなた達ってもしかしてお姉ちゃんの友達の方ですか?」
「「あっ、はい。」」
「話は姉から聞いています。姉が、お世話になりました。」

年はあまり変わらないと思うのだが、しっかりしている人だな…

言われてみれば、義姉と似ているかも…