朝日がうっすらさしこんで、その眩しさに目が覚めた。

本格的な冬は終わったといえど、朝はまだ気温が低いから、思わずぶるっと身体がふるえた。

今日も、目が覚めてしまった。

自分の死期が近いと悟って彼から離れたのに、しぶとくもわたしはまだこうして生きている。

けれど、全速力で走ったあの日から、身体はだんだん重くなってすんなり起き上がれることが減ってきた。身体は言うことを聞かず、ほぼ丸1日、冷たくてかたい地面に身を任せたままでいる。

食事も数日とっていない。

いまは寂れた商店街の路地裏。そこの無造作に積まれた段ボールの隙間。そこがわたしのいまの家だ。

この暮らしが悪いとは思わない。彼に出会うまではこの生活が当たり前だった。それまでは暗くて寒いのが当たり前で、ご飯はだいたい腐ったなにかや、カラスのおこぼれだった。

食べ物を求めてさまよってたどり着いたのが、あのコンビニで。そこで彼と出会ったのだ。弱りきっていたわたしをあの深緑のマフラーに包んで優しく抱いてくれた。あたたかくてふわふわで。こんなに優しい感触がこの世にあるのだと、初めて知ったのだ。

彼に出会ってはじめて、わたしはこの世界で生きることを幸せだと思ったんだ。