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中学二年で自覚するまで、自分の見え方が他人と違うなんて思いもしなかったのだけど。わたしは人の顔がうまく認識できない。それも、生まれつきに、だ。
そのせいもあってか、小さな頃のわたしは友達作りが苦手だった。
どうしてかわからないけれど、わたしは一緒に遊んでいる子たちの顔と名前をうまく覚えることができなかったのだ。
言っても、悪気があるわけでも、覚える気がわけでもない。一緒に遊んで覚えたはずの友達が、次の日に幼稚園や学校に行くと、どの子だったかわからなくなってしまうのだ。
たとえば、今日遊んだAちゃんが次の日に服装や髪型が変えているとする。そうすると、わたしは服装や髪型の変わったAちゃんが昨日のAちゃんだと気付けない。
昨日の服装の違うAちゃんから話しかけられて、誰だかわからず困った顔すると、向こうはわたしの態度に気を悪くする。
そういうことが続くと何度も続くと、やがてクラスでウワサになって、わたしのそばには誰も寄って来なくなる。
幼稚園の頃は、なかなか友達の顔と名前を覚えられない私を先生がさりげなくフォローして集団の輪に入れてくれていたけれど、小学校に入ってからは特に女の子たちのわたしに対する態度は露骨だった。
『柚乃ちゃんて、いつも友達のこと無視するよね』
『昨日遊んだのに、今日話しかけたら『名前何?』って聞かれたんだけど。失礼じゃない?』
『柚乃ちゃんなんて、こっちから無視しようよ』
だんだんとそんなふうに悪く言われるようになって。
小学生のわたしは、休み時間にひとりで教室の席に座って、ノートに絵を描いて過ごすことが多くなった。