態度が悪いとか生意気だとか、周囲からそんな評価ばかりされてきたおれを「優しい」なんて過大評価してくれる君に。不安そうな顔ばかりしているくせに、ときどき無防備で裏表のない笑顔を見せてくれる君に。おれの心は揺らされてばかりで、その理由に今はもう気付いてしまっているから。
おれは君のなかで、誰よりも一番に目立ちたい。
「もしよかったら、こっちは榊がつけてくれない?」
ターコイズブルーのブレスレットを榊の顔の前で揺らすと、彼女が戸惑ったように視線を泳がせた。
「え、でも、それだと――」
おそろいみたいだよね……? と、口籠った榊の声が聞こえてくるような気がする。
「うん、あえておそろいにした」
頷いて肯定すると、口をもごもごさせながら言葉を飲み込んだ榊の顔が、じわじわ赤くなる。
うつむいて照れる彼女を見たのは、これで、今日何度目だろう。おれの些細な言動に、いちいちピュアな反応を示してくれるのが可愛い。
照れてくれるってことは、少しはおれのことを意識してもらえてるってことなんだろうから。
「これ、もらってくれる?」
緊張した声で訊ねると、榊が足元に視線を落としてコクンと頷く。
「つけてもいい?」
続けて訊ねると、子どもみたいな仕草でコクンと頭を縦に振った榊が左手首を差し出してきた。
受け入れてもらえたことが嬉しくて、ドキドキして。榊の左手首におれのと色違いのプレスレットをつけると、ぎゅっと彼女の手を包む。