「と、時瀬くん……?」
戸惑う榊の手を引いて向かった場所は、アクセサリー雑貨の店だ。
男物のかっこいいアクセが多くて、値段も高校生的には手頃。だから、たまに買い物に来る。
ひとりだったらシルバーとかレザーのものを見たりするけど、色が目立つものがいいなと思って店内を歩き回っていたら、シルバーのトップスがついた、付けっぱなしにしておけるコードブレスレットを見つけた。
コード部分の色は赤とか青とかグリーン系とかいくつかカラーバリエーションがあって、可愛い系だけど男女選ばず付けられそうなデザインだ。
「榊の好きな色って何? やっぱり、赤系?」
スニーカーの赤色を誉めてたしな。
足元にちらっと視線を向けてから、ラックに引っ掛けられているブレスレットの赤色に吸い寄せられるように手を伸ばす。
「赤とかピンクも可愛いけど、一番好きなのは、あお、かな……」
ふいに聞こえてきた声に、ドキッとした。蒼生、って。榊から名前を呼ばれたような気がしたから。