君だけのアオイロ


「座ってゆっくり飲めば?」

「でも、みんなは?」

「みんな、なんて気にしなくていいよ。榊は武下たちと仲良いわけじゃないし、あいつらが連れてくる女子たちとも初対面じゃん。ほんとのこと言うと、グループデートは榊のこと誘うための口実だから」

「え?」

「初めから、みんなでボウリングしたあと、武下たちとは適当なところで別れる予定だった」

「どうして……?」

「武下のやつ、おれと榊のことをどうにかしようと企んでんの」

「どうにか……」

 おれの言葉の意味を理解して、何かを察したらしい榊の顔がじわじわと赤くなっていく。榊がわかりやすく照れるから、つられておれまで照れてしまう。

「と、いうことなので。このままふたりでもよければ、座ってもらっていいですか……?」

 ドキドキしながら訊ねると、榊がコクンと頷いて椅子に座る。

 おれの視線を避けるようにうつむいた榊は、赤い顔をして、さっきまでよりも必死にフラペチーノを啜っていた。

 どうやら、おれが思ってた以上に意識してもらえているらしい。

 下を向いた榊の髪の隙間からちょこんと覗いた耳の先っぽが真っ赤で。それが、すごく可愛かった。