あいつら、榊の知り合いなのか……。中学時代の同級生とか?
週末で人も多いし、ここはいろんな人が待ち合わせに利用する場所だから、たまたま知り合いに会うなんてこともあるだろう。
だけど、別の男に話しかけられている榊を見て、なんだか胸の中がモヤモヤした。榊がふたり組の男たちと何を話しているのかが、すごく気になる。
待ち合わせをしているのはおれたちなんだから、遠慮せずに声をかければいいか。
なかなか榊のそばを離れない男たちに痺れを切らして歩み寄ろうとすると、彼女がふたりと並んで歩き始めた。
「え、榊……?」
連れて行かれる……。
「ちょっと待て、榊。どこ行くんだよ。お前は今日、おれたちと約束してるだろ。そいつら誰?」
慌てて追いかけて、余裕なく乱暴に榊の腕をつかむ。立ち止まった榊はビクッと過剰に肩を揺らして振り返ると、大きく目を見開いた。
「え、あれ?」
戸惑うように瞳を揺らした榊が、ついていこうとしていた茶髪の男とおれの足元を交互に見て泣きそうに顔を歪める。