「俺たち、土曜日にグループで遊ぶからさ、榊さんもおいでよ」

「でも、グループで遊ぶなら、わたしじゃなくて他に仲良い子を誘ったほうが楽しいんじゃないかな」

「そんなことないって。榊さんが来てくれたら俺らも楽しいから」 

 榊がそれとなく誘いを断ろうとしているのに、武下は全然諦めようとしない。それどころか「な、蒼生」と、にやけ顔でおれに同意を求めてくるから、ほんとうに勘弁してほしかった。

 確かに、最近のおれは榊のことを気にしてよく見ている自覚はある。

 だけど、それが恋愛感情によるものだって確証はないのに。榊に誤解を受けるようなことを言われたら困る。

「武下、もうほんとにやめろって。榊も、気を遣わずにはっきり断っていいから」

「蒼生、本当に断られちゃっていいの?」

「いいって」

「蒼生ってば、強がっちゃって」

「は?」

 怪訝に眉を寄せると、武下がニヤリとして、内緒話でもするみたいに口の横に手のひらをくっつけた。