「柚乃がいてくれて、すげー嬉しいから」

「うん、わたしも蒼生くんがいてくれてすごく嬉しい」

 ひしゃげて掠れたおれの声に、柚乃の声が優しく重なる。

 このままどこにも行かせたくなくて……。抱え込むみたいに抱きしめると、柚乃の乾いた頬がおれの頬に触れて少し濡れた。

 触れ合う頬も、抱きしめた身体も泣けるほどに温かくて。好きだと思った。ものすごく。

 きっとこの先も、君の温かさに触れる度におれは何度も同じことを思うんだ。

 どうしようもなく、君のことが好きだ、って。


fin.