「蒼生くんがほんとうはどんな顔してるのか、どんなふうに笑うのか、わかればすごく嬉しいけど……。でも、わからなくても、わたしは蒼生くんのことが大好きだよ。蒼生くんだから好き。優しい、蒼生くんの丸ごと全部。うまく、言えないけど――」
柚乃の言葉がおれの中で響いて、身体中を揺さぶって。心の深い奥のほうから、言葉にできない熱い感情が一気に溢れ出してくる。
目の前の細くて頼りない存在が愛おしすぎて、おれは柚乃の身体を力の加減もできずに抱きしめた。
母親譲りの地毛の明るい茶髪とか、人に睨んでると誤解されがちな目力強めのつり目とか。悪目立ちばかりして誤解ばかりされる自分の容姿に、ずっとうんざりしてた。
外見で悪いことしそうだっていつも他人に決めつけられて、自分がそれ以外の基準で判断されることはないんだと思ってた。
だから、おれの丸ごと全部が好きなんて言われたら、嬉しくて胸が潰れそうだ。
「やばい。それ、泣きそう」
「どうして?」
不思議そうに訊ねてくる柚乃に、また、身体の奥から想いが込み上げてくる。