「そういえば、柚乃のは?」

 背中を少し丸めて顔を覗き込むと、柚乃の肩が驚いたようにビクッと跳ねる。


「ちゃんと返してもらえた?」

 続けて訊ねると、赤い顔をした柚乃がコクコクと首を縦に振って、スカートのポケットからターコイズブルーのブレスレットを取り出す。


「これ。蒼生くんと一緒にもう一回つけ直したい」

 そう言って、柚乃が恥ずかしそうに笑いかけてくる。おれは彼女の手から無言でブレスレットを奪うと、留め金を外した。

 うつむいた柚乃がおれに左腕を差し出す。

 髪の隙間から覗く柚乃の耳の先は真っ赤になっていて。最初に柚乃の手首にブレスレットをつけたときのシチュエーションを思い出してドキドキした。

 あのときも、柚乃はうつむいて、耳の先まで顔を真っ赤にして、おれのことを待っていた。

 今も変わらず、おれの仕草にピュアな反応を返してくれる柚乃は可愛い。可愛くて、あのときよりももっとずっと愛おしい。