君だけのアオイロ


 蒼生くんの言葉が信じられなかった。信じたくなかった。

 陽菜に言われたことが、こんなにもすぐに現実になるなんて思わなかった。だけど……。


「蒼生くん、それ、本気で言ってる?」

「本気で言ってる。もう、付き合えないから」

 泣きそうな声で訊ねたわたしに、蒼生くんは冷たくそう返してきた。


「それ、もらっていい?」

 続けざまにそう言って、蒼生くんがわたしの目の前にパッと手を差し出してくる。

 一時間前までは、たしかにこの手に触れていたはずなのに。短時間で遠く離れてしまった彼との距離に、絶望的な気持ちになる。

 蒼生くんのわたしに対する気持ちが冷めたのなら、仕方ない。だけど、ブレスレットは渡したくない。返したくない……。

 ブレスレットの上に右手を重ねて渋っていると「まだ?」と、面倒臭そうな声がする。その言い方は、優しかった蒼生くんとは思えないほど冷たくて。わたしの胸をチクリと刺した。