君だけのアオイロ


 蒼生くんが生徒指導室に呼ばれていったのは、一時間くらい前。わたしの手を引いて帰ろうとしていた蒼生くんの気持ちがそんな短時間で変化するなんて……。にわかに信じられない。

 告白してきた別のクラスの女の子は、いったいどんな子なのだろう。瞬間的にわたしへの気持ちが冷めるくらい、可愛くて魅力的な子だったのだろうか。

 蒼生くんからの話が突然すぎて、頭の中が混乱して、全く理解が追い付かない。


『今は柚乃のこと好きって言ってくれてるかもしれないけど、目印がなくても自分のことを好きって言ってくれる別の子が現れたら、その子のことを好きになっちゃうかもよ?』

 ふいに昼休みに陽菜に言われた言葉が蘇ってきて、心臓がバクバク鳴った。


「悪いけど、これはもう外すな」

 わたしの目の前で、蒼生くんが青のコードブレスレットを外して、規定服のズボンのポケットに雑に突っ込む。それから、わたしの左手首を指差してきた。

「それも、返して」

「え?」

 冷たく響く蒼生くんの声に、ピクリと肩が震えた。

 これも、返さなきゃいけないの──?

 告白されたときに、蒼生くんがつけてくれたターコイズブルーのブレスレット。それをもらったときの恥ずかしくて嬉しい気持ちを思い出して、わたしは左手首を庇うように右手で覆った。