君だけのアオイロ


「それは解決したよ」

「そっか。それならよかった」

 にこっと笑いかけると、蒼生くんが顔の中央部分に触れながら下を向く。

 なんとなくだけど、蒼生くんから意図的に視線をそらされたような気がして胸が騒いだ。

 ブレスレットが戻ってきて、山崎先生の誤解も解けた。物事が全部うまくいっているはずなのに、生徒指導室に呼ばれる前の蒼生くんと今の蒼生くんとではわたしに対して微妙な温度差があるような気がする。


「帰る? 今日は、どこかに寄っていく?」

 いつもなら蒼生くんのほうからわたしにかけてくれる放課後の誘い文句。いつもと少し様子が違うように思える蒼生くんに、わたしのほうから誘いかけると、彼がゆるりと首を横に振った。


「ごめん。待たせといて悪いんだけど、話したいことがある」   

 言いにくそうに切り出してきた蒼生くんの声が、普段よりもわずかに高く、震えているような気がした。今から聞かされるのは、確実によくない話だ。

 蒼生くんから妙な緊張感が伝わってきて、急にそわそわと落ち着かない気持ちになる。