わたしがブレスレットのない蒼生くんの腕を見て不安な顔をしたせいで、きっと蒼生くんのことまで不安にさせている……。
『ずっと気になってたんだよ。目印がないと時瀬くんのことを判別できないくせに、柚乃は時瀬くんの何が好きなんだろうって』
ふいに、陽菜に昼休みに言われた言葉が耳に蘇ってきてゾッとした。
陽菜に言われたとおり、わたしは蒼生くんのことを判別するためにブレスレットという目印に頼りすぎているのかもしれない。
「目印のことなら気にしなくても大丈夫だよ。蒼生くんのことだったら、ブレスレットがなくてもちゃんとわかるし。他の人と間違えたりしないから」
わたしは、目印に頼らなくったって蒼生くんのことを判別できる。蒼生くんにというよりは、自分を納得させるようにそう言うと、彼が左手首を撫でながら首を横に振った。
「そんなあっさり大丈夫とか言うなよ。ずっと着けとくって約束しただろ。それに、あれは目印ってことだけじゃなくて、柚乃とおそろいなことに意味があんの」
「……、そうだね」
蒼生くんの言葉に、胸が詰まった。