蒼生くんのことを、他の誰かとは間違えない。間違えたくないっていう気持ちはある。

 だけど、蒼生くんと他人を絶対に間違えないという自信はない。目の前にいる男の子が蒼生くんだという99%の確証を100%の自信にしてくれるのが、彼の付けてくれている青いブレスレットなのだ。

「ほら、自信ないでしょ?」

 自分の正当性を主張するみたいな陽菜の声が、わたしを悲しくさせる。

「じゃあ、わたしは蒼生くんのことも、他の誰のことも好きになっちゃダメってこと?」

 泣きそうな声で訊ねたら、陽菜がひゅっと息を飲み込んだ。

「そうじゃなくて……。心配なだけだよ。わたし、柚乃のこと大事だもん」

 心配……? 大事……? そう思ってくれているなら、どうしてわたしの気持ちを否定するようなことばっかり言うの?

 中三の頃からいつも一緒にいたのに、わたしは陽菜がどんな顔をして、どんな気持ちで言葉を口にしているのかわからない。

 うつむいた陽菜の耳元で、金色の星が泣きそうに揺れる。それを見つめるわたしの視界が、ぼやけて、うっすらと滲んだ。