「時瀬くんがかっこいいと、嬉しいの?」
「蒼生くんがっていうよりは、付き合うの反対してるくせに、陽菜が蒼生くんを褒めてくれたことが嬉しいんだよ」
「褒めてないし。ただ、客観的な意見を述べただけだよ」
「そっか、そっか」
いちごミルクを飲みながら、うんうんと頷いていると、陽菜のじとっとした視線を感じる。
「わたしがずっと気になってるのはさ、柚乃が時瀬くんを目印で判別してるってことだよ」
「どうしてそれが気になるの?」
陽菜の言っている意味がよくわからない。ストローを咥えながら傾げると、陽菜がため息を吐いた。
「柚乃は、時瀬くんのどこが好きなの?」
「え……?」
唐突な質問にびっくりして、口からぷっとストローが飛び出す。
「ちゃんと答えてよ。好きな人のどこが好き? って聞かれたら、見た目って答える人もいっぱいいると思う。だけど、柚乃はそうじゃないじゃん。だったら、時瀬くんのどこが好き?」
真っ直ぐにわたしを見つめてくる陽菜の双眸。それを見れば、彼女がわたしを揶揄っているわけではなくて真面目に質問しているのだということがわかる。