「そんなこと言ってて、柚乃はこれからも時瀬くんと付き合っていけるの?」
「それは……、大丈夫だよ」
「何が大丈夫なの? 顔もよくわかってない相手と付き合ってて、柚乃は不安じゃないの?」
「それはあんまり気にならないかな。だって、わたし、陽菜の顔だってよくわかってないもん」
わたしの反論に、陽菜がぐっと一瞬言葉を詰まらせる。身じろいだ陽菜の耳元で、金色の星のピアスがキラッと光った。
陽菜の耳にピアスホールが開いたのは、中学の卒業式のあとだった。
春休みにうちに遊びに来た陽菜の耳には、透明のファーストピアスが嵌められていて。ピアッサーで開けたときにバチンッてすごい音がしたという話を聞かされて、耳たぶがそわそわした。
「開けた穴が安定してきたら、もっと可愛いやつに変えるんだ。柚乃も一緒に選んで」
陽菜に頼まれて、わたしもピアス選びに付き合った。そこで陽菜が買ったのが、今も彼女の耳で揺れている小さな金色の星のモチーフがついたピアス。
アクセサリーショップで、お互いに一番可愛いと思うやつをひとつずつ選ぼうと陽菜に言われて、わたしが選んだものだ。耳たぶに触れる部分は小さな三日月のような形になっていて、そこから金色の小さな星がぶら下がっている。