「どうしたの?」
考えごとをしながら、いちごミルクのパックに刺したストローの先を指で摘んでいると、陽菜が横から顔を覗き込んできた。
「別に……」
「別に、って顔じゃないじゃん」
陽菜に指摘されて、ストローの先を摘む指先に力が入る。
「ごめん。さっき蒼生くんに誘われたとき、陽菜のことを断る口実にした」
「どういう意味?」
「蒼生くんに誘われたのはすごく嬉しかったし、行きたいなってちょっと思ったんだよ? でも、サッカーって何人か以上で集まってやるスポーツでしょ」
「正規の試合なら、1チーム11人とかでやるね」
「それに、広範囲で走り回るよね。そうなったら、目印があってもサッカーしてる男の子たちのなかから蒼生くんのことを見分けられないかもしれない」
「自信がないから、見たくても見に行けないんだ?」
「……」
ストローの先を、指で押し潰したり離したりしていると、陽菜がふっと息を吐いた。