「蒼生、外行かねーの?」

「ああ、行く」

 友達からの呼びかけに蒼生くんが短く答える。その声が、わたしと話すときよりも少しだけ低くなった。

「今日はサッカー?」

「うん、そう」

 蒼生くんは、天気の良い昼休みは友達とよく外でサッカーやバスケをしてるらしい。

「柚乃も、江藤と一緒に見に来る?」

「わたしは行かないよ。行くなら、柚乃ひとりで行きなよ」

 蒼生くんの誘いに少しだけ心が揺れたけど、陽菜が素っ気なく即答で断るから、わたしも首を横に振った。

「せっかく誘ってくれたのにごめん。陽菜が行かないなら、わたしもやめとく」

「そっか。じゃあ、行ってくる。今日、放課後な」

「うん」

 今日は美術部が休みで、蒼生くんと一緒に帰る日なのだ。

 わたしが頷くと、蒼生くんは手を振って教室から出て行った。