「時瀬くんと別れそう?」
ここ一ヶ月で、陽菜から何度その質問をされたかわからない。それに対するわたしの答えは、聞かれるまでもなく「別れないよ」の一択だから。陽菜が蒼生くんのことを認めてくれるまで、このやりとりには決着がつかないだろう。
「陽菜もさ、いつまでもわたしと蒼生くんのことを気にしてないで自分のことに目を向けたらいいのに。この前も告白されたって言ってたよね。陽菜は、今好きな人いないの?」
陽菜は中学のときからわたしに引っ付いてばかりいるけど、たぶんモテる。小柄でサイズ感が可愛いし、話し方や仕草だって可愛い。全貌はよくわからないけど、顔だってきっと可愛いんだと思う。
たまに告白もされてるみたいだけど、そのなかの誰かと付き合っていたことはないし、好きな人がいるという話も聞いたことがない。
わたしのことを心配してくれるのは嬉しいけど、友人としては、いつもわたしにくっついてばかりでいいのかな、とも思ったりする。
陽菜の耳で揺らめく星のピアスをじっと見つめていると、彼女がわたしの頬を指で摘んで軽く引っ張ってきた。