「はじめまして、桂木錑と申します、桂木ホテルリゾートの社長をしております」

「桂木ホテルリゾート?」

「親父から困った時訪ねるようにと聞いていました」

「桂木の息子さんかい、桂木は元気かな?」

「親父は亡くなりました」

親父から訪ねる様に言われていたのは、資産家の東城慎太郎だ。

いくつものホテルを経営しており、数十億の資産を保有しているとの噂だ。

「奴は先に行きおったか、それでわしになんの様だ」

「親父が亡くなった途端、メインバンクも取引先も撤退し始めて、このままだと会社の倒産は免れません」

「それで?」

「何か良い策はないものかとご相談に参りました」

東城氏は何か考えている様子だった。

「桂木くん、何か他にメインバンクが撤退する様な心あたりはないかね」

「実は親父の代から付き合いがあった企業とある理由により契約を破棄しました、自分に対してその企業の社長は相当立腹されていると聞いています」

「そのある理由とやらを聞かせて貰えるかな」

俺は深呼吸をして語り始めた。