錑は単身東京へ戻った。

俺は病院へ直行した。

危篤状態が続いて、三日後親父は息を引き取った。

あまりにも急な出来事に途方に暮れた。

会社の経営状況は順調かに見えた。

しかし、宇佐美不動産との契約を破棄したことが大きく影響し、更に親父が亡くなったことで撤退する企業も増え、一気に桂木ホテルリゾートは経営が悪化の一途を辿った。

「社長、我が社のメインバンクが撤退したいと言って来ました」

「親父の存在は偉大だったってことか、くそっ、何か方法はないのかよ」

そこへ宇佐美不動産ご令嬢、宇佐美麗子が現れた。

「社長、宇佐美不動産の麗子お嬢様がお見えです」

「忙しいからと断れ」

「どうしてもお話したいと仰っております」

俺はみゆのことがあり、許せない気持ちでいた。

「五分だけ話を聞く、通せ」

「かしこまりました」

麗子は社長室に足を踏み入れた。

「お久しぶりです、錑様」