私はこの時錑と一緒にいられないなら生きている意味がないと思っていた。
私は錑にとって迷惑な存在だから……

錑は私を好きって言ってくれた、でも錑は会社のために麗子さんと結婚する立場だから、私さえいなければ、錑は悩むことはないと思った。

ゆかりさんは言葉を続けた。

「立木さんが居なくなって、錑は仕事してなかったのよ、立木さんを捜すのに必死で、宇佐美不動産との契約も取りやめたわ」

「えっ?そんな、私のせいですよね」

「立木さんのせいではないわよ、錑が決めたことよ」

「麗子さんとの結婚はどうなったんですか?」

「もちろん無しよ、だから錑の元に戻ってあげて、錑は一途に立木さんを愛してるわ、あなただってわかってるんでしょ」

「駄目です、私じゃ」

「どうして?」

「反対されます、もう二度とあの思いはしたくないんです」

手の震えが止まらず、呼吸が苦しくなってきた。

「立木さん、大丈夫?大きく深呼吸して」

「姉さん、もういいだろ、彼女は限界だ」

北山先生は私を診療所のベッドに横にならせてくれ、ずっと手を握ってくれた。
私は知らないうちに眠ってしまった。