「じゃあ、ゆかりさんと結婚したいんじゃないですか」

「えっ?私?」

「ゆかりさん、錑の彼女なんですよね?」

「ちょっと待って、なんでそうなるのかな」

「じゃあ、ゆかりさんと錑はどんな関係なんですか?」

ゆかりさんは驚いた表情を見せていた、でも私があまりにも真剣に質問するので、馬鹿げたことと思いながらも答えてくれた。

「私の彼と錑が同期入社だったの、彼は錑と真逆の性格で自分の気持ちを言葉にするのに、すごく時間がかかる人だった。
私を好きって言う気持ちも、錑が伝えてくれた、つまり錑は私と彼のキューピットかな」

あれは入社式が終わり、みんなで食事に行こうって集まった。

錑は率先してみんなを和ませてくれるムードメーカーだった。

でも彼は一言も話さず、下を向いていた。

大人しい人、それに比べて桂木くんはなんて明るいの?

私は微笑ましい気持ちで錑を見つめた。

「おい、北山、俺に惚れただろう」

「はあ?何言ってるかな、桂木くんは少し自意識過剰よ、少しは村山くんを見習えば?」

「村山?」

彼は急に自分の名前が出て来たことにびっくりして戸惑っていた。

「へ〜っ、村山、北山がお前の事好きだってよ」

彼は顔を真っ赤にして俯いた。