「すみません」

私は慌てて手を引っ込めた。

「あっ、僕の方こそすみません」

北山先生は恥ずかしそうに下を向いた。
私が眠っている間、北山先生はゆかりさんに連絡していた。



「姉さん、久しぶり、健志だけど」

「やだ、どうしたの?珍しいわね」

「うん、立木みゆさんの事捜してる?」

「えっ?どうして知ってるの」

「今、僕の診療所に入院してるんだ」

「診療所に入院?」

「姉さん、立木さん貧血だけど、ちゃんと検査した方がいいって言ったんだって?」

「そう、やっぱり唯の貧血じゃないの?」

「それは検査してみないとわからないけど、あと錑元気?」

「うん、元気よ、ちょっといろいろあって、立木さんの事迎えに行くわ」

「今すぐは無理だよ、もう少しこっちで預かるから、錑に伝えておいてくれる?」

「わかったわ、じゃお願いね」

北山先生は電話を切った。