「そうですね」

「ちょうどいい、みゆちゃん、北山先生の嫁さんになってくれないかのう」

そこへ慌てた様子で北山が湿布を持って来た。

「とよさん、失礼な事言わないでください、みゆさんが困ってるじゃないですか」

「そうかい、お似合いだと思うんだがなあ」

北山先生は照れた様子で俯いた。

この島の人達は北山先生を頼りにしていると感じた。



私は会社を辞めたので、入院費や薬代などが気になり、北山先生に尋ねた。

「あのう、ちょっとお聞きしたいのですが」

「なんでしょうか?」

「私、一週間位前に会社を辞めて、保険の手続きをしてないんですが、入院費やお薬代は実費になっちゃいますよね」

「まだ、保険証持っていますか?」

「はい」

「調べてみますので見せて頂いてもいいですか」

北山先生は物腰が柔らかく、言葉一つ一つが優しい、患者さんに頼りにされるのがよくわかる気がした。

「えっ、立木さんは桂木ホテルリゾート株式会社にお勤めだったんですか」